Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Read 平の将門 (たいらのまさかど) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 232,193 characters · 463 screens
「知らん。そんな事は」
「まあ、はっきり、仰っしゃって下さい。凡下の私たちは、心配なんです。海と陸の両方から、この都へ、火を放って、どっと暴れこまれては堪りません」
「つまらぬ流言を申すな」
貞盛は、群衆を叱って、繁盛と共に、そこから逃げるように、辻の暗がりへ曲がりかけた。
すると、一部の人影が、
「やい待てっ。――その流言は、誰がいい出したのだ」
「馬鹿野郎っ」
ばらばらと、彼の影へ向って、礫が飛び、同時に、蜘蛛の子のように逃げ散る跫音が、夜の街へ散らばった。
「わははは。あははは。……いや、今夜はうまく彼奴を利用してやったな。こんなおもしろい目を見たのは久しぶりだ」
同じ夜の事。
六条坊門附近の娼家の多い横丁を曲がって行きながら、傍若無人な高声でこう話し合ってゆく四、五人の遊蕩児らしい男がいた。
その中の年上な一人は、たしかに、八坂の不死人らしい声だし、また特徴のある彼のするどい眼であった。
陸の酒
この六条坊門附近は、娼家の巣であった。近くに市があり、細民町だの盛り場もある。八坂の不死人は、この辺を根じろに、官憲を翻弄していた。やりたい放題、都の秩序を乱している。