Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Read 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) by 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 109,233 characters · 223 screens
×
森源は、やがて、ルミを抱えて去った。
私はわざとそれを送ろうとはせず、二階の手すりから、科学者森源が、それこそ半生の精魂を罩めて産んだルミを、半ば引ずるようにして去って行く後姿を、泪ぐましい気持で見詰めていたのであった。
森源にとっては、実子にも増す、かけがえのないルミが、路傍の人であった私の為に、科学の常識を無視して、彼を棄ててしまったのである。彼の悲痛さは、私にも充分想像することが出来た。それだけに、尚さら、森源の重たげな足どりが、よろめくように私の視界を去っても、私の暗然たる気持は、長く拭い去ることが出来なかった。
――その夜、私はここへ来ては唯一の慰安であるラジオを聞こうとして、ダイヤルを廻しながら、不図、愕然として思いあたることがあった。
というのは、ルミの意志――についてである。あれは、ルミの意志ではないのだ、私の意志なのである。
森源は、脳波操縦ということをいっていた。私はラジオをいじり乍ら、その脳波と電波というものを合せて考えついたのであった。つまり、森源の脳波と、私の脳波とは、同一波長ではないのかということである。