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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Read 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) by 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 109,233 characters · 223 screens
というのは最後部の乗務員室で背をもたれながらぼんやり飛去って行く窓の外を見ていますと丁度あのあたりで窓から洩れる車内燈の光りの中に、フッと人影を見たというのです。それは立って歩いている人影で、而も、レールをはさんで右側を黒っぽい着物を着た男が、そして左側を、瘠形の女らしい人影があった――。その車掌もおやっと思っても一度たしかめようとしたのですが、何分ヘッドライトもないし次の瞬間には車内燈の光りの外に闇に消えてしまっていたというのですが、これを聞いた時、私たちさっきの青大将を見た連中は唇の色を失っていました。それにしても自殺などする筈もない倉さんが非番のしかも真夜中になぜあんな線路を歩いていたのか、一直線の見通しのきくところでなぜポンコツを食ったのか、そして田圃の真ン中のレールの上にどこから青大将が来て、轢かれたのか、吉村君もそうらしかったのですが私は今日が丁度倉さんが生前虐待し通しだったという細君の、怨みをのんで自殺したという同じ日の同じ場所であったばかりか、そこへ得体の知れぬ青大将が心中するように寄りそっていたということや車掌の見たという男女の人影のことと、あの血みどろの恐怖に眼の球が半分以上も飛出していたすさまじい形相の倉さんの生首とを思い合せて、しっとり濡れたシャツの肩のあたりが変にゾクゾクと鳥肌