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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Read 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) by 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 109,233 characters · 223 screens
鷺太郎は振りむいて合図をした。と同時に又婆やが出て来た。
『どうぞ……』
それと一緒に、驚ろく婆やを尻目に、どやどやと三人続いて這入ってしまった。
『やあ――』
と出て来た山鹿も、一瞬、不快な顔をしたが、遉がに、去り気なく
『どうぞ――』
応接間は八畳ほどだった。椅子につくと間もなく、畔柳博士は、
『山鹿さん、地下室をみせてくれませんか』
『えッ』
山鹿は何故かさっと顔色を変えた。
鷺太郎も吃驚した。このはじめて来る他人の家に、地下室があろうなんて、畔柳博士はどうして知っているのであろう。それにしても、山鹿の驚愕は何を意味するのか――。
山鹿は顔色を変えたまま、よろめくように立上った。
『どうぞ、こちらです』
そう呟くようにいって、壁に手を支えながら歩き出した。
その、うしろ姿の波打つような肩の呼吸から、何事か、この一言がひどく彼の胸を抉ったことを物語っていた。
――その地下室への入口は、想像も出来ぬほど巧みに、彼の書斎の壁に設けられてあった。地下室のことについては、博士は『出入の商人から人数に合わぬ食糧を買い込んでいるからさ――』こともなげに答えた。
山鹿を先頭に、三人は黙々と並んで這入った。