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りょうりいっせきばなし
料理一夕話
北大路 魯山人
Read 料理一夕話 (りょうりいっせきばなし) by 北大路 魯山人 (きたおおじろさんじん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 8,841 characters · 18 screens
個性なき飲食
食物の理解
個性なき飲食
美味いものが食いたい人は、他人に頼らないで、自分の好きなものを自由に選び、自由に食えば、山の鳥や野獣のように本来の目的は達し得られる。食事だって芸術性があるわけである。しかし、多くの人間は自分の好みがはっきりしないようだ。
食物と言えば、女の仕事と決めてかかり、その無知に後悔しながらも、女房の手料理にあきらめてみたり、愚にもつかぬ小料理に舌鼓を打ち、憚りもなく食物談に興じ、やがて金廻りがよくなり、家を造る段になると、設計を人に頼む。きもの選びまでを「○○屋」に相談したりする。金の使い方まで、みな他人に相談して、平凡に誤りなからんことを希っている。
こんなのが賢明な常識人とされている。絵のひとつも購うとなると、新しい書画さえ買えば間違いはない、古い物は危険だからとて買わない。こんな手合いが常識人で通るほど、今日は個性のない世の中となっている。人生勉強を怠っているからではなかろうか。
食物の理解
料理も王者の根性が大切だ。ラジオ・テレビに現われる粗末な料理では、しみったれた、つまらない人間ばかりが生まれるだろう。それが心配になる。
およそ生きとし生けるものは、食餌に充分な理解が入用だ。