Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,353 characters · 371 screens

Aozora Bunko

驚かしてすまなかったな」

「何もおらは驚きはしない。けれど母者人は、びッくりなされた。――謝るならおらのおふくろ様に謝るがいい」

不敵なことをいう。

ただの土民とは思われなかった。藤吉郎は、小屋の内を見まわした。

「これ、これ、茂助よ。お武家さまに向うて、何を失礼なことばかりいうぞや。もし……誰方様やら存じませぬが、世間の衆と交わりも断って、礼儀もわきまえぬわがままな山家者の子でござります。どうぞ、おゆるしくだされませ」

老母は、すこし進んで、子に代って藤吉郎へ詫び入った。

「お。……お許が、この若者のおっ母さんか」

「はい。……さようでござりまする」

「礼儀もわきまえぬ山家者の子といわれたが、どうして、お許のことば遣いも、この若者の面だましいも、世のつねの土民とは見うけられぬ」

「いいえ、もうお恥かしい山家暮し、冬は猟をし、夏は炭薪を里に出して、細々すごしている親子でござります」

「今はそうでしょう。けれど、以前はそうではおざるまい、尠なくも、お許は由緒ある者の御家内であったにちがいない。――てまえは斎藤方の家臣ではないが、仔細あってこの山間にさまようて来た者。