Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,353 characters · 371 screens

Aozora Bunko

「知れたこと。存分に築城させ、後より乗っ奪って、かえって美濃が尾張を制圧するの足場としようという計であろう」

「その通りである」

「稲葉山のおさしずはそうあった。けれど、敵を知らぬ危うい作戦。治郎左衛門には、味方の滅亡を座視しておれぬ」

「どうして味方の滅亡となるか。平四郎には解せぬ」

「耳をすまして、対岸から流れてくる石工や人夫の掛け声、種々な物音をつつんだ音響、また築城の進みようなど注意しておればわかる。山川みな兵となって働いているような活気だ。――これまでの佐久間、柴田などとちがい、こんどの采配ぶりには魂がはいっている。織田でもよほどな人物が、指揮に当っておるに相違ない」

「うわははは」

とうとう不破平四郎は腹をかかえてしまい、買被るなと、治郎左衛門を揶揄した。

味方と味方同士でも、必ずしも心は一つと限っていない。治郎左衛門は、虎髯の中で、大きく舌うち鳴らして、

「止んぬる哉だ。笑え、笑って見ておれ。思い知るから――」

云い捨てて、駒を呼び、四、五の家来たちと共に、憤然と立ち去ってしまった。

美濃にも、具眼の人物がいないではない。

大沢治郎左衛門の予言は、中っていた。