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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 180,256 characters · 361 screens
「あ、なんですか」
「何ですかじゃない。白昼、お庭で大鼾をかいて、眠っている奴があるか」
「眠っておりましたか」
「わからんのか、自分で」
「では、眠るつもりもなく、眠ってしまったものとみえます。もう起きています」
「当りまえだ」
「はい」
「自体、そちは、横着だぞ。聞けば一度も、武芸の日課すら、勤めたことがないと申すではないか」
「武芸は下手ですから」
「ろくすッぽ、稽古もせぬに、下手も上手もあるわけはない。小者といえど、武芸鍛錬、怠るべからず、とは御当家の御家憲だ。――さあ、来い。きょうからわれわれが、稽古をつけてつかわす」
「いえ。それには及びません」
「ならぬ」
「でも」
「拒むか、貴様あ、奉公人の身でありながら、御家憲を守らぬのか」
「ではございませんが」
「ならば参れ」
合法的に、撲りつけるつもりであるから、嫌も応もいわせない。
若侍たちは、日吉を拉して、遮二無二、籾蔵の前の空地へ引っぱって来た。
そこには今日も、逗留中の武芸者の一団と、家中の者とが、炎天の下に、各※(二の字点、1-2-22)槍を持って、喚き声をあげていた。
無理に、彼を拉して来た若侍たちは、そこへ来るといきなり、