Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 180,256 characters · 361 screens
「よし打ち明けてやろう。だが昼は人目につく、折を待て」
その後、がんまくの口から、彼は、織田家の内情について種々な知識を得た。そして主人信長の境遇に、理解と同情をもって、よけい奉公の真を尽した。
けれど藤吉郎は、そうした陰謀家の家臣の中にある若い孤君の将来を、少しも危ぶみはしなかった。先代以来の老臣も重臣も、信長を見捨てかけていたが、まだ召し抱えられて年月も浅い藤吉郎のみは、深く信長に信じているものがあった。
(ここを、わが殿は、どう切り拓いて行かれるだろうか)
と、身分の低い彼は、ただ遠くから祈る気持で眺めていた。
その月の末頃だった。
いつものことで、多くの家来も従いていなかった。
信長は、突然、駒を曳き出させて、城外へ遠乗りに出た。
清洲の城下から、守山まで、その間、約三里程である。彼はいつも、朝飯前に、飛ばして帰って来る。
が――その日は、先頭の信長の馬首は、守山へは向わないで、城下の十字街道から東へ向って駈け出した。
「やッ。殿には?」
「どこへ行かれる気――」
続く家臣の五、六騎は、また、出しぬけを喰って、あわを喰いながら、後を追いかけていた。