Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 180,256 characters · 361 screens
日吉は、赤い焔を見つめながら父親のことばに聞き入っていた。――弥右衛門もまた、日吉に分っても分らないでも、こういう真実を吐く相手には、妻でもいけないし、女の子のおつみでもいけなかった。
「――木下家の系図があればのう、おまえにも、分るように話せるが、……系図は焼けてしまってない。だが、生きた系図は、おまえにも伝えてある。……これじゃ」
弥右衛門は、手頸の青い静脈を撫でていった。
――血だぞ。
と教えたのである。
日吉は、頷いた。そして自分の腕くびを握ってみた。自分の体にも、青い血管がある。はっきりと分った。これほど確かな――しかも生きている系図はない。
「祖父さんから先は、どんな人が御先祖だったか知れぬが、その遠い御先祖のうちには、偉い人もいたに違いない。多分、お侍もいたろう。学者もいたろう。――そういう方たちの血が流れ流れて、わしからお前にも、伝わっているわけだ」
「……ええ」
日吉はまた、頷いた。
「だが、わしは偉くない。あげくに、この通りな不具者だ。……だから日吉、貴様は偉くなってくれよ」
「……お父っさん」
日吉は、円い目をあげた。
「偉くなるって、どんな人になったら偉いの」