Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Read 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 158,540 characters · 319 screens

Aozora Bunko

「これが病気とでもいうのかえ」

松吉は親指を出してみせると、女は肩を少しそらせて笑った。

「ほほ、御冗談でしょう。可哀そうにこれでもまだお嫁入り前でさあね。御代参をたのまれたのは、町内の古着屋のおっかさんに……。と云い訳をするのも野暮ですが、そこの妹があたしのところへお稽古に来るもんですから」

「じゃあ、そのおっかさんも御信心なんだね」と、半七は何の気もつかずに云った。

「御信心も御信心ですけれど、すこし心配事がありましてね。そこの息子さんが十日ばかりも前から、どこへ行ってしまったか判らないんですよ。方々の卜者にみて貰ったら、剣難があるの、水難があるのと云われたそうで、おっかさんはなおなお苦労しているんです。今もお堂で御神籤を頂いたんですが、やっぱり凶と出たので……」と、女は苦労ありそうに細い眉を寄せた。

女は内藤新宿の北裏に住んでいる杵屋お登久という師匠であった。かれは半七や松吉の商売を識っているので、ここで遇ったのを幸いに、もしその古着屋の息子のゆくえに就いて、なにか心当りでもあったら知らしてくれと頼んだ。半七はこころよく受け合った。

「なにしろ、おっかさんが可哀そうですからね」