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うんせききこう
柳宗悦 民藝紀行
柳 宗悦
Read 柳宗悦 民藝紀行 (うんせききこう) by 柳 宗悦 (やなぎむねよし) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 133,050 characters · 276 screens
歴史を振り返れば、僻陬のこの国にもかつてあった窯の名を二、三は数え得るであろう。十数年前までは弘前在に悪戸窯があった。色は寒いが、並釉に白の「いっちん」で見事な絵を描いた。この窯が絶えたのは何とも惜しいが、これが最後で窯の煙は津軽から消えたのである。だが幸なことに市内に新しく窯を築いて志を立て起き上った陶工がある。京都の河井の所で長らく勉強している高橋一智君である。土地の産業に深い関心を有つ木村研究所の後援で仕事が始められた。この窯が順調に進捗すれば陸奥の窯藝史に輝かしい一章が加わるであろう。私は同君の為人をよく知っている。何を目指して努力の数年を送ってきたかを知っている。個人で仕事を民藝の立場に返せる人はめったにない。同君の焼物はそれに適し同君の意志はそれを貫くだろう。先日北海道で試作した幾多のものは充分に未来を保証してくれる。生れ出ずるこの窯の前途を私は心から祝福する。仕事場の棚に釉掛を終った鉢や皿や茶碗が数多く並べられているのを見た。この頁を書き終らんとする頃、初窯の煙が雪空に黒々と立ち登っていることであろう。(この稿を書いてから数年たった。