Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Read 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) by 橘 外男 (たちばなそとお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 198,400 characters · 387 screens
うつむいた人影
うつむいた人影
あくる日から、左近将監はいつもとかわらず、御殿へも出仕すれば、また、殿さまにかわって藩の政務もつかさどり、顔色にも挙動にも、なんのかわったところも見えません。
しかも左近将監のいいふらしたうわさ――九州の麒麟児といわれる碁の天才小金吾を、左近将監がやぶったばかりに、小金吾はその身をはじて、修業していっそう腕をみがかんものと、その晩城代の邸をとびだしたきり、家へももどらず、いずこかへ出奔してしまったというそのうわさを、そのまま真にうけて、問う人があれば、
「いやいや、拙者の腕がつよくて、小金吾どのをやぶったわけではござらぬ。ほんのはずみで、三番勝負のうち三番まで、勝ちとおしたというまでのこと、まったく偶然でござるよ。さるを、若気のいたりとはいえ、たかが勝負ごとぐらいに敗れたからとて、目の不自由な老母をうちすてて、碁の修業に出奔するとは、たとえがたき不所存者! 拙者、小金吾どの老母が、つくづくと気のどくでならぬ。名家竜胆寺家も、かかる不心得者をだしては、もはや末でござるな」
と、眉をひそめながらためいきをついているのです。
そればかりか!