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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Read 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) by 橘 外男 (たちばなそとお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 198,400 characters · 387 screens
これは可笑しいぞ、という気持が私にもしてきた。
「昨日ひょっとそんな話を脇から聞きましたので、旦那様がお帰りになりましたら、昨夜のうちにお耳に入れておこうと思ったのでございますが……なにせこんな話でございますから、家内の奴がまことに気味悪がりまして、明日の朝にしてくれと泣くように申しますもので……」
ようやく私の顔も真剣になってきたのを見ると、亭主は一層気味悪そうに声をひそめひそめ、中腰をして話し出してくるのであった。幽気の迫る気持というのはこれを指すのであろうか。首筋からゾクゾクとうそ寒い感じがして、空はよく晴れ鶏はそこに餌を啄んでいるにもかかわらず、私には声を低めてボツボツと話し出してくる亭主の青い顔までが言いようもなく幽暗なものに見えてくるのであった。
そこで亭主の話をかいつまんでみれば、亭主はこの前にあの少年たちに逢った私の話を聞いた時には、別段そうした人たちに何の興味を持ったわけでもないのであった。ただあんな了雲寺のような荒れ果てた山寺の中に、日野さんのような東京の方のお墓があるというのが妙に記憶に残っていたそうであったが、そういう気持があったものだから、ふと昨日野良へ出ている時に、以前日野さんの邸のすぐ側に住んでいた隣村の百姓が、通りかかって声を掛けた時にも、偶然それを思い出して、家にいらっしゃる