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うたよみにあたうるしょ
歌よみに与ふる書
正岡 子規
Read 歌よみに与ふる書 (うたよみにあたうるしょ) by 正岡 子規 (まさおかしき) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 17,419 characters · 35 screens
七たび歌よみに与ふる書
生の写実と申すは合理非合理、事実非事実の謂にては無之候。油画師は必ず写生に依り候えどもそれで神や妖怪やあられもなきことを面白く画き申候。しかし神や妖怪を画くにももちろん写生に依るものにて、ただありのままを写生すると一部一部の写生を集めるとの相違に有之、生の写実も同様のことに候。これらは大誤解に候。
〔『日本』明治三十一年二月二十四日〕
七たび歌よみに与ふる書
前便に言い残し候こと今少し申上候。宗匠的俳句と言えばただちに俗気を連想するがごとく、和歌といえばただちに陳腐を連想致候が年来の習慣にて、はては和歌という字は陳腐という意味の字のごとく思われ申候。かく感ずる者和歌社会には無之と存候えど歌人ならぬ人は大方かようの感を抱き候やに承り候。おりおりは和歌を誹る人に向いてさて和歌はいかように改良すべきかと尋ね候えばその人が首をふっていやとよ和歌は腐敗し尽したるにいかでか改良の手だてあるべき置きね置きねなど言いはなし候様はあたかも名医が匙を投げたる死際の病人に対するがごとき感を持ち居候ものと相見え申候。実にも歌は色青ざめ呼吸絶えんとする病人のごとくにも有之候よ。