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ちゅうもんのおおいりょうりてん

注文の多い料理店

宮沢 賢治

Read 注文の多い料理店 (ちゅうもんのおおいりょうりてん) by Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 106,269 characters · 223 screens

Aozora Bunko

「赤いしゃっぽのカンカラカンのカアン。」とどなりました。するとそのせ高の画かきは、にわかに清作の首すじを放して、まるで咆えるような声で笑いだしました。その音は林にこんこんひびいたのです。

「うまい、じつにうまい。どうです、すこし林のなかをあるこうじゃありませんか。そうそう、どちらもまだ挨拶を忘れていた。ぼくからさきにやろう。いいか、いや今晩は、野はらには小さく切った影法師がばら播きですね、と。ぼくのあいさつはこうだ。わかるかい。こんどは君だよ。えへん、えへん。」と云いながら画かきはまた急に意地悪い顔つきになって、斜めに上の方から軽べつしたように清作を見おろしました。

清作はすっかりどぎまぎしましたが、ちょうど夕がたでおなかが空いて、雲が団子のように見えていましたからあわてて、

「えっ、今晩は。よいお晩でございます。えっ。お空はこれから銀のきな粉でまぶされます。ごめんなさい。」

と言いました。

ところが画かきはもうすっかりよろこんで、手をぱちぱち叩いて、それからはねあがって言いました。

「おい君、行こう。林へ行こう。おれは柏の木大王のお客さまになって来ているんだ。