Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ちゅうもんのおおいりょうりてん

注文の多い料理店

宮沢 賢治

Read 注文の多い料理店 (ちゅうもんのおおいりょうりてん) by Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 106,269 characters · 223 screens

Aozora Bunko

ベゴ石は笑って、

「いやこれは苔ですよ。」

「そうですか。あんまり見ばえがしませんね。」

それから十日ばかりたちました。おみなえしはびっくりしたように叫びました。

「ベゴさん。とうとう、あなたも、かんむりをかぶりましたよ。つまり、あなたの上の苔がみな赤ずきんをかぶりました。おめでとう。」

ベゴ石は、にが笑いをしながら、なにげなく云いました。

「ありがとう。しかしその赤頭巾は、苔のかんむりでしょう。私のではありません。私の冠は、今に野原いちめん、銀色にやって来ます。」

このことばが、もうおみなえしのきもを、つぶしてしまいました。

「それは雪でしょう。大へんだ。大へんだ。」

ベゴ石も気がついて、おどろいておみなえしをなぐさめました。

「おみなえしさん。ごめんなさい。雪が来て、あなたはいやでしょうが、毎年のことで仕方もないのです。その代り、来年雪が消えたら、きっとすぐ又いらっしゃい。」

おみなえしは、もう、へんじをしませんでした。又その次の日のことでした。蚊が一疋くうんくうんとうなってやって来ました。

「どうも、この野原には、むだなものが沢山あっていかんな。たとえば、このベゴ石のようなものだ。