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ちゅうもんのおおいりょうりてん

注文の多い料理店

宮沢 賢治

Read 注文の多い料理店 (ちゅうもんのおおいりょうりてん) by Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 106,269 characters · 223 screens

Aozora Bunko

噛じりました。木の上でしきりに頸をまげている雪狼の影法師は、大きく長く丘の雪に落ち、枝はとうとう青い皮と、黄いろの心とをちぎられて、いまのぼってきたばかりの雪童子の足もとに落ちました。

「ありがとう。」雪童子はそれをひろいながら、白と藍いろの野はらにたっている、美しい町をはるかにながめました。川がきらきら光って、停車場からは白い煙もあがっていました。雪童子は眼を丘のふもとに落しました。その山裾の細い雪みちを、さっきの赤毛布を着た子供が、一しんに山のうちの方へ急いでいるのでした。

「あいつは昨日、木炭のそりを押して行った。砂糖を買って、じぶんだけ帰ってきたな。」雪童子はわらいながら、手にもっていたやどりぎの枝を、ぷいっとこどもになげつけました。枝はまるで弾丸のようにまっすぐに飛んで行って、たしかに子供の目の前に落ちました。

子供はびっくりして枝をひろって、きょろきょろあちこちを見まわしています。雪童子はわらって革むちを一つひゅうと鳴らしました。

すると、雲もなく研きあげられたような群青の空から、まっ白な雪が、さぎの毛のように、いちめんに落ちてきました。