Japanese reading practice

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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

Read 無人島に生きる十六人 (むじんとうにいきるじゅうろくにん) by 須川 邦彦 (すがわくにひこ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 100,616 characters · 201 screens

Aozora Bunko

ぶああんと、遠くまで、海鳴りがして、ひびき渡っていく。こんなことは、まあ、陸では見られない。海は大きいが、動物も大きいと、つくづく思うね。

また、こんなこともあった。おいらが十五歳のときだ。おとうさんの船に乗って、アラスカのいちばん北のとっさき、バーロー岬から、もっと東の方へ、北極の海を、氷のわれめをつたわって、行ったことがあった。船の上から、氷の上に、のそのそしている白くまを、いくつも見た。

「おとうさん、白くまをとってもいい」

と聞いたら、おとうさんは、

「鉄砲でうったり、銛でついてはいけない。いけどりにするならいい」

といった。まだ少年のおいらに、――くまがりなんかおまえにはできないよ。そんなあぶないことをするな――という、ありがたい親心が、今ではよくわかる。だが、そのじぶんには、親のありがたさなんぞは、気がつかない。

「おとうさんは、ぼくの勇気をためすのだ。鯨よりは、ずっとちっぽけな白くまだ。生けどりにできないことはない。――よし、やるぞ」

こんな親不孝なことを考えた。そして、アメリカの牧童が、あれ馬にまたがって、ふちの広い帽子をかぶって、投縄をぶんぶんふりまわして、野馬や野牛にひっかけて生けどりにするように、白くまを生けどってやろう。