Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

Read 無人島に生きる十六人 (むじんとうにいきるじゅうろくにん) by 須川 邦彦 (すがわくにひこ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 100,616 characters · 201 screens

Aozora Bunko

的矢丸にて

めったに船のくるところではない、このへんの海の漁業調査のため、パール・エンド・ハーミーズ礁の北の沖を、西にむかって、暗礁をよけて航海中、とつぜん、水平線に黒煙が二すじ三すじ、立ちのぼるのを見た。

「たぶん、外国の軍艦でも遭難しているのだろう。錨のとどくところがあったら、ともかくも、碇泊しよう」

それで錨を入れたのは、われらの本部島から、十二カイリ(二十二キロ)の沖であった。

「ボートらしいものが、やってきます」

「日本の伝馬船です」

「乗っているのは、まっ黒い、はだかの土人です」

望遠鏡で見はっていた当直の者から、このような、やつぎばやの報告を受けて、的矢丸の長谷川船長は、遭難した土人が漕ぎつけてくるのだ、と思いこんでいた。

そこへ、縄ばしごをつたって、甲板によじのぼってきたのは報告どおりの、まっ黒な土人が五人。酋長らしいのが、ただ一人、気のきいた服装をしている。その男が甲板に立って、きっと、こちらを見つめていたが、とつぜん、大きな声で、

「あっ。長谷川君」

とよぶと、飛びつきそうなかっこうで、両手をひろげて、せまってくる。

長谷川船長は、びっくりした。

「ええっ」