Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
むじんとうにいきるじゅうろくにん
無人島に生きる十六人
須川 邦彦
Read 無人島に生きる十六人 (むじんとうにいきるじゅうろくにん) by 須川 邦彦 (すがわくにひこ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 100,616 characters · 201 screens
それよりも、あの山に、三十いくつの墓石が、ならんでいるのだよ」
「三十いくつの墓石」
「それはね、昔、外国船の難破した人たちが、この無人島に流れついて、七年間も、岩窟に住んでいた。そして、うえ死にしたということだ」
浅野も、秋田も、国後も、あらためて、岩山のいただきを見つめた。
南海の強い日光に、岩のかたまりは悪魔のような影がつけられ、そのあたりを、一陣のあらしのように飛びさる、海鳥の群。
島の根もとに、がぶり、がぶり、とかみついている、波の白い牙。
故郷を遠く幾千カイリ、この無人の孤島に、三十いくつの立ちならぶ墓石となった人々のことを思って、秋田生徒は、うるんだ声でいった。
「七年も生きていて、うえ死にするなんて……魚がつれなくなったのかなあ――」
このとき、とつぜん、だれかがうしろから、生徒二人の、肩をたたいた。二人は、びっくりして、ふりかえると、漁業長が立っていた。
漁業長は、ポケットから、何枚かのビスケットをつかみ出して海へ投げた。
船のまわりを飛んでいた海鳥の群が、もつれあって、さっと突進し、ビスケットを一枚のこさずくわえとり、舞いあがって、たべてしまった。