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むじんとうにいきるじゅうろくにん
無人島に生きる十六人
須川 邦彦
Read 無人島に生きる十六人 (むじんとうにいきるじゅうろくにん) by 須川 邦彦 (すがわくにひこ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 100,616 characters · 201 screens
暗礁は近い。船は、切れた錨鎖を海底に引きずったまま、ぐんぐん岩の方へおし流されている。危険は、まったくせまってきた。あぶない。このままでは、船体は暗礁にぶつかって、めちゃめちゃにこわれてしまう。そして、沈没だ――
船の運命は、今はただ、まんいちの用意につんである、予備錨にかかっている。総員は必死に、予備錨の用意にとりかかった。
まだ、大波にゆられる、小船の上の経験のない君たちには、このときのようすは、想像もつくまい。なにしろ、まっくらやみで、まわりはなんにも見えない。夜中の一時すぎ、二時ちかくだ。
ふかい海から、力強く、ぐっとおしてくる大きなうねりが、海面に少し頭を出している暗礁に、すて身の体あたりでぶつかる。それがはねかえってきて、あとからあとから、間隔をおいておしよせる波と、ぶつかり、ごったがえして、三角波となり、たけりくるっている。そこへまた、どっとよせてくる大うねり。すべてが力を合わせて、船をゆすぶるのだ。ことばでいえば、
――おどりくるった波が、船を猛烈に動かす――
――怒濤が、船をもみくちゃにする――
まあ、こんなものだが、じっさいはどうして、そんなものじゃない。