Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
むじんとうにいきるじゅうろくにん
無人島に生きる十六人
須川 邦彦
Read 無人島に生きる十六人 (むじんとうにいきるじゅうろくにん) by 須川 邦彦 (すがわくにひこ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 100,616 characters · 201 screens
砂運びをする人たちは、砂山つくりの目的に、身も心もうちこんで、全員一かたまりとなって、下痢や腹痛に苦しみながら、たださかんな精神力だけで、動作はゆっくりだが、たゆまずに進んでいるのだ。これが、日本の海の勇士の、すがたなのだ。なんというりっぱなすがただ。しぜんに頭がさがる。
だが、日ざかりの強い日光は、はだかの全身をじりじりとてりつけて、病人からあぶら汗をしぼりださせ、白い珊瑚の砂に反射する日光は、きらきらと目をいるのだ。日かげの天幕のなかでさえ、この大自然の熱い熱い息が、ふうっと、砂からふきあがって、私をつつむような気がする。いや、ほんとうに熱い。熱い息が、私の下腹にふきかかってくる。
私は、ふと下を見た。そして、おや、と思った。熱い息をだしているのは、腰の下の丸太にぶらさがっている、万年灯であった。
小さな灯明ではあるが、熱がある。その熱に、四日も五日も、少しずつあたためつづけられて、行灯の上の方と丸太が、あつくなっているのだ。下腹が、だんだんあたたまって、気もちがいいこと。そう思っているうちに、いつのまにか、腹痛が、消えるようになくなっていたではないか。