Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
つばくろ(つばくろ)
燕(つばくろ)
山本 周五郎
Read 燕(つばくろ) (つばくろ(つばくろ)) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 25,395 characters · 52 screens
若い人たち(四)
ようになった」
渡貫が喉で笑った、「栄誉どころか」と彼は皮肉な調子ではなく云った、「いままでに自分のして来たことがすべて、なんの意味もない、むなしいことのようにしか思えない」
「梶本はべつだがね」と庄野が云った、「――梶本の絵は大名諸侯や、寺社、愛好家に珍蔵されて、千年のちまでも残るだろうからな」
「うちあけたところ」と梶本はまじめな口ぶりで云った、「もしできることなら、死ぬときにはこれまで描いた絵を一枚残らず、焼き捨てて死にたいと思っているよ」
かれらはまた沈黙した。その中で、又左衛門が静かに立ちあがって広縁へ出た。庭では二人の老人が卓の用意をしてい、松林に夕靄の立ち始めるのが見えた。
「あの声を聞いてくれ」と梶本が頭をかしげながら云った、「――茸狩りに来た若者たちが歌っているぞ」
渡貫と庄野が耳をすました。
「うん、思いだすな」渡貫がゆっくり二度、三度と頷いて云った、「あのころのおれたちの声を聞くようだ」
庄野は黙ったまま眼をつむった。
若い人たち(四)
村野友四郎と畑中采女が松林の中をやって来て、村野が立停り、下草の中から女の履物の片方を拾いあげた。