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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Read 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,496 characters · 368 screens
「駈け落ち者と見えないかしら?」
ヌケヌケと梶子が云い出したのである。
「そうあってくれればよろしいのでござるが」
と、何んと三十郎もヌケヌケと、こんなことを云い出した。
驚いたのは二人の武士で、
「カ、駈け落ち者、ミ、見えませぬな」
「オ、男の方が、ミ、みっともなさ過ぎる」
「ホ、ホ、ホ」
と横腹を抑え、梶子は声を立てて笑い出した。
「三十郎さん、テレたわねえ」
「ひどいテレ様で」
と三十郎も苦笑し、
「汗をかきましたよ、脇の下あたりに……」
「ご主従かな、ちと変だが」
と、軍右衛門がまた訊いた。
「主従? ……さよう、用心棒で!」
と、三十郎がズバリと云った。
「附け人と申してもよろしゅうござる」
二人の武士は眼を見合わせた。
「附け人? 用心棒? ……変なお言葉で……」
と霜降小平が渋面をし、
「それではまるで博徒のようで」
と小林軍右衛門も顔をしかめて云った。
「もっとよくない身分なんですよ」
と、不意に梶子が様子を変え、横柄に、叱るように、揶揄するように云った。
「あたしゃア女細作なのさ」
「女隠密と申してもよいので」
三十郎も揶揄するように云った。
「女細作? 女隠密?」