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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Read 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,496 characters · 368 screens
「わたくしは梶子と申すもの、紀州藩士の方々と一緒に、いつぞや青塚の郷を攻め、明暦義党の同志ばらと、戦ったものにござります。……ゆえあってここの洞窟内へ、立ち入りましてございますが、意外にも義党の同志の中の、鵜の丸兵庫と五十嵐右内と、松浦民弥とに逢いました。……で、それらの連中と、洞内の迷路を辿り辿り、ようやく一つの口へ出ましたところ、そこに霜降小平様が、大勢とご一緒におられまして、忽ち斬り合いとなりましたが、義党の三人は死に物狂い、それに揃っていずれもが腕利き、さすがの小平様の同勢も、あしらいかねたよう見受けましたれば、わたくし小平様のご依頼を受け、皆様方にご加勢願おうと……」
「大変だ!」
「あっちの口へ出たか!」
「梶子殿なら我らも顔見知り……青塚郷攻めのあの際には、われらも一緒でありましたよ。……今回もまたいろいろ配慮、ありがとうござる! ありがとうござる!」
「さあ行けさあ行け加勢に行け!」
「菊女はどうする? 菊女はどうする?」
「云うまでもない、しょびいて行け!」
紀州藩士たちは口々に云った。
「いえいえ菊女とやらいうその女は、妾がおあずかりいたしましょう。