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ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

Read 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,496 characters · 368 screens

Aozora Bunko

、策の得たるものと存ぜられ申す!」

そう云うと半九郎は肱を張り、軒昂とした意気で一座を見た。

「それよかろう!」

と応じたものがあった。

それは有竹松太郎であった。

松太郎の現在の身分といえば、大道香具師の独楽廻しであったが、本来は佐竹家の家臣であり、主家滅亡して以来、深く徳川に怨みを持つに至った。自然、したがって慶安義挙の復活、徳川幕府倒壊のことを、目的としているこの義党に、加盟するようになったのである。

「たかが十八歳の小冠者萩丸、あのような者を今日まで、持てあましおりましたのが我らの不覚、いよいよ用に立たぬとなら、首斬って血祭りにした方がよろしい。拙者首斬りの役負いましょう。行って叩っ斬って参りましょう」

こう云うと松太郎は側の刀を掴み、ノッソリとばかり立ち上がった。

「しばらくお待ちくださいませ」

この時菊女が声をかけた。

一同は期せずして菊女の方を見た。

諸同志の言葉をずっとそれまで、聞き澄ましていた彼女であったが、この時はじめて云い出したのであった。

「萩丸様を捕えましたは、最初から殺そうためではなく、萩丸様に筆をとらせ、紀州において捕えられましたところの、我々義党の同志の体を、至急獄屋から放すよう、頼宣卿への宥免状を、認めさせるためと存じまする」