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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Read 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) by 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 327,364 characters · 638 screens

Aozora Bunko

家のお嫁さんに来てくれません?」

「私が? お宅の後妻に?」

「お父さんも承知の上なのよ。」

「愛ちゃんがいるからね。」

「いたっていいわよ。」

「それはね、私も商売人あがりだから、この商売はまんざら素人でもないんですよ。だから旦那が御承知なら行ってもよござんすがね。でもそんなことしてもいいんですか。」

「どうしてです。」

「真実か嘘か、世間の噂だから当てにはならないけれど、お銀ちゃんとの噂が立っていますからね。」

「そんなこと嘘よ。全然嘘だわ。」銀子はあっさり否定した。

「そうお。そんなら私の方は願ったり叶ったりだけれど、旦那がよろしくやっているところへ、私がうっかり入って行ったら、変なものが出来あがってしまいますからね。」

「そんなことないわ。父さんにお神さんがないから、そんな噂も立つんでしょう。お師匠さんに来ていただければ、私も助かるわ。」

師匠も銀子の口車に乗り、やがて大弓場を処分して、藤本へ入って来たのだったが、入れてみると、ちぐはぐの親父と、銀子の所思どおりに行かず、師匠の立場も香しいものではなかった。親父と銀子は、時々師匠の前でもやり合い、声がはずんで露骨になり、人の好い師匠が驚いて、傍へ来て聴耳を立てたりすると、親父は煩そうに、