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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Read 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) by 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 327,364 characters · 638 screens
碧梧の陰に、末の娘のために組み立てのぶらんこをも置いた。しかしそうして、女中に手伝わせて、ホースで水を撒いたり、鍬やシャベルを持ち出して、萩や芙蓉の植え替えをしたり、薔薇やダリヤの手入れをしていると、老いた孤独の姿がますます侘しく心に反映して来て、縁側へ来て休んでいても、お茶一つくれるものもないのが物足りなかった。
逗子における葉子の事件は、庸三の近くにいる二三の青年を嫉妬半分憤らせたり、寂しがらせたりはしたが、ジャアナリズムと一般の世界ではほっとしたようであった。
葉子の行動に、前から関心をもっていた、ある若い新聞記者から、ある時電話がかかって来た。その時も庸三は小夜子の家にいた。小夜子の家でも、川沿いの部屋の窓近くに、幾株かの若い柳を植えたり、玄関先きの植込みのうえに変わった型の電気燈籠を掲げたりして、座敷はいつも賑やかであった。
庸三が帳場の卓上の受話機を取ってみると、今度の事件について、何か話が聞きたいというのであった。
「そうですね、僕は二人の結婚がどうかうまく行くようにと思うよりほか、別に何の感想もありませんよ。多少あっても、今は何も言いたくないんですが。