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ひゃくあしちがい
百足ちがい
山本 周五郎
Read 百足ちがい (ひゃくあしちがい) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 28,491 characters · 56 screens
かれらはそれほどひねくれた人間ではないらしいが、下僚根性は多分にあった。又四郎がなにか命ずると、実に巧みにわからないふうをよそおう。
「はあ、どれそれを、……はあ、なんですか」こんなぐあいにきき返す、なんどもきき返し、お互い同志で眼を見交わし、首を捻り、またきき返して、ようやくわかると、
「ああそうですか、そういうことですか、それでわかりました」
そしてなあんだという顔をするのであった。
総務部では五日に一回ずつ重臣の寄合がある、これは定例の茶話会のようなもので、年度更りとか、なにか重要な懸案のない限り、雑談をして二時間ばかりで解散になるが、そのときは勘調所の各課から、司書と呼ばれる責任者が出てそれに加わる。……ただ陪席するだけで、たいていおえら方のつまらない座談を聞くばかりだが、ここでも又四郎はずいぶん辛抱しなければならなかった。
重臣たちの多くは、四十から六十くらいの甲羅をへた連中で、みんなかなりあつかましい。それらが多かれ少なかれ又四郎に興味をもっているらしく、まことに益もないことを話しかける。
「おまえのことは知っておる、うん、又四郎か、なかなか人物だということだが、慢心はいかんぞ、人間万事慢心はよくない、だがまあ、なんだ、うん、遊びにまいれ」