Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ひゃくあしちがい
百足ちがい
山本 周五郎
Read 百足ちがい (ひゃくあしちがい) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 28,491 characters · 56 screens
八
嬢はそこで艶然と笑った、「わたくし信じていましたの、男という男は信じられないけれど、貴方だけはお信じできる、きっと約束を守って下さるって、信じて下さるでしょ」
又四郎は睡をのみ、眼をそらした。頭がちらくらして、さっきよりも舌が硬ばって、喉の中が痒くなった。……そこへまた一人、ようやく歩き始めたくらいの、ひどく肥えた男の幼児がはいって来た。
「ああたん、んめよう、んめよう」
幼児はこういって嬢のほうへよちよちと近寄ってゆき、べたべたの手でその肩へ掴みかかった。
八
そのときの又四郎の心理を正確にあらわすことはむずかしい。自分でもずっと経って、よほど年月をけみしてから、それが一種の恐怖に類するものらしいということを、ごく朧ろげに推察できるくらいが精々のところだった。
なにしろ闖入者はそれだけではなく、肥えた幼児の次には三つくらいの、痩せた、赭毛の女の児があらわれ、そのあとから四歳と五歳ばかりになる男の子が二人、互いに相手の頭髪のむしりあいをしながら来、さらに驚いたことには、二番めにあらわれたのと瓜二つ、ひどく肥えている男の児が、やはりよちよちした歩きぶりであらわれた。