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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Read 福翁自伝 (ふくおうじでん) by 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 209,912 characters · 402 screens
ある。この一事でも幕府全体の気風は推察が出来ましょう。夫れから又長州征伐のとき外国人は中々注意して居て、或時英人であったか米人であったか幕府に書翰を出し、長州の大名にドウ云う罪があって征伐するのだろうか、ソレを承りたいと云て来た。爾うするとその時の閣老役人達がいろ/\評議をしたと見え、長々と返辞を遣たその返辞の中に、開鎖論と云うことを頓と云わない。当りまえならば国を開いた今日、長州の大名は政府の命令を奉ぜずに外国人を敵視するとか、下ノ関で外国の船艦に発砲したからとか云いそうなものであるに、ソンな事は一言半句も云わないで、イヤどうも京都に暴れ込んだとか、或は勅命に戻り台命に背き、その罪南山の竹を尽すも数えがたしと云うような、漢学者流の文句をゴテ/″\書て遣た。私はその返辞を見て、コリャどうも仕様がない、表面には開国を装うて居るも、幕府は真実自分も攘夷が為たくて堪らないのだ、迚もモウ手の着けようのない政府だと、実に愛想が尽きて同情を表する気がない。
然らば則ち之に取て代ろうと云う上方の勤王家はドウだと云うに、彼等が代たら却てお釣の出るような攘夷家だ。