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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

Read 胡堂百話 (こどうひゃくわ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 124,386 characters · 248 screens

Aozora Bunko

百二百となれば、あとは、ずいぶん、勢いに乗ることも出来る。

昔から、長い小説は、いくらもある。源氏物語、アラビアン・ナイト、八犬伝、戦争と平和、大菩薩峠。

だが、その多くは、一つの筋の発展であって、幾多の短編の集積というのは、昔は、あまりなかった形式だ。探偵小説には、フランスの「ファントマ」や、イギリスの「セキストン・ブレイク」があるが、あれは一人の作者でない。捕物作家クラブ同人が、協力して書いている黒門町伝七捕物帳と、むしろ、似たようなものである。

あんまりいうと自慢にきこえるが、新記録というのは、なかなか楽しいものである。ビルからビルへ針金を渡して綱渡りするのも、一度に何升かの大飯を食べてみせるのも、私が三百何十編を書いたのも、あまり変らぬ優越感であろう。『大菩薩峠』の作者に逢うと、いつも、その長さについての自慢をきかされたが、考えてみると、私も同類項らしい。モリソバを、背丈けだけ食べたと威張るあんちゃんと、大して変らぬ無邪気さである。

昭和六年から始めて、最初のころは、節操堅固に、一つの月刊雑誌だけへ発表した。従って一年に十二編である。

七、八年たって、C社から出版の話が来た。