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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Read 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 193,761 characters · 388 screens
警官たちは、持っていた警棒で、ゆかをたたきまわり、四方のかべをたたきまわり、ひとりの警官が、べつの警官の肩にのって、天井までも、たたきまわったのですが、ぜんぶ完全なコンクリートで、秘密戸のようなものはひとつもないことが、たしかめられました。
地下室のことですから、空気ぬきの四角な穴が、一方のかべの上と下と二ヵ所に、あいていましたが、それは十センチ四方ほどの小さな穴で、そんなところから、人間がぬけだせるはずもありません。
ひょっとしたら、怪人はこの部屋にはいると見せかけて、じつは、はいらなかったのではないか。そして、トンネルのどこかに、秘密戸でもあって、そこから逃げてしまったのではないか。そう考えたので、明智探偵はドアの外に出て、トンネルのかべを、じゅうぶん、しらべましたが、すこしもうたがわしい個所はないのでした。
「明智さん、こりゃ完全な密室じゃありませんか。」
警官のうちの警部補の服を着たひとりが、おどろいたような顔で言いました。この警部補は、まえにべつの事件で明智といっしょに働いたことがあって、顔見知りのあいだがらでした。
「密室です。かりに、あいつがこの部屋へはいらなかったとしても、逃げる場所がありません。