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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Read 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 193,761 characters · 388 screens
ふたりは、目を見あわせて、うなずきあいました。この運転手は、むろん透明怪人のことを知っていたのです。また、明智が警視庁へいくのも、その事件にかんけいがあることをさっしていました。
「それじゃ、いまの自転車には、透明怪人が乗っていたんですね。そして、この横町で飛びおりて、わざと先生の自動車に、ぶっつからせたのですね。」
運転手は、おびえた顔で、明智をみつめました。名探偵は、それにたいして、かるくうなずいたまま、何も言いません。内心では、さっき電話をかけてきたばかりの怪老人が、もうこんないたずらをはじめたすばやさに、おどろいていたのですが、そういう顔色は見せませんでした。
透明怪人が乗っていたのだとすると、あいては目に見えないやつですから、おっかけることも、とらえることもできません。運転手は、しかたがないので、こじきにてつだわせて、こわれた自転車を、道わきによせ、自動車の前部の機械をしらべていましたが、チェッと舌うちをしながら、
「かわりの車を呼んでまいりましょう。きゅうには、なおりそうもありません。」
とあきらめたように、言うのでした。
ちょうどそのとき、むこうから、一台の自動車が徐行してきました。