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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Read 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 193,761 characters · 388 screens
」
明智がそう言って、立ちあがろうとするのを、なぜか、中村係長が、おしとどめました。
「明智君、席を立たないでください。でないと、とりしらべが、うまくいかない。きみ、かまわないから、小林少年を、ここへつれてきたまえ。早くするんだ。」
警官が一礼して立ちさると、まもなく、ドアのそとに、おおぜいの足音がして、そこにパッと花がひらくように、思いもよらぬ人があらわれました。
「アッ、おくさんでしたか。よくごぶじで……。明智君、よろこびたまえ。小林君が、きみのおくさんをたすけだしてきたらしいよ。」
中村係長が明智の肩をたたきました。
部屋の入り口には、美しい明智文代さんが立っていたのです。小林少年と四―五人の中学生が、文代さんをまもるように、そのりょうがわにならんでいます。
明智は文代さんと顔を見あわせて、かるく、うなずいてみせました。
「小林君、ここへ来て、報告したまえ。どうして、おくさんをみつけだしたのだ。」
中村係長のことばに、小林君は「ハイ。」と答えて、二―三歩まえに出ました。そして、ゆうべからのことを、かいつまんで、ものがたるのでした。
「ゆうべ、ぼくは、おくさんの寝室のとなりにねていたのですが、真夜中に、ふと気がつくと、おくさんの部屋のまえで、ボソボソと人の声がしているので、ドアをほそめにあけて、ソッとのぞい