Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Read 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 26,416 characters · 53 screens
近所の人たちにしたことは、おなかに対する供養の気持だった。決して感謝されたり、褒められたりするいわれはない。おなかの良人や子供がどうなったかは知らないが、自分はかれらに悲しいおもいをさせ、おなかを殺したも同然である。いつかはこの事実のあばかれるときが来るだろう、それまではおなかへの供養と、自分の罪ほろぼしのために、少しでも人の役に立ってゆきたいと思った。
「迎えが来た、と云ったのはこういうわけだったのです」と佐八は云った、「――昨日、裏で人の騒ぐ声を聞いたとき、私はああそうかと思いました、おなかが迎えに来た、これで本当に二人がいっしょになれる、これでやっと安楽になれるんだって」
上り框にごろ寝をしていた平吉が、とつぜん唸り声をあげ、水を持って来い、とばかげた高声で喚きだした。
「差配の因業じじい、お梅ばばあのしみったれ」と彼は喚いた、「佐八のばか野郎、赤髯のへちゃむくれ、おめえらはみんな大ばかのひょっとこだ、へっ、どうせこの世は二合五勺よ、むずかしい面あしたって底は知れてらあ、酒でもひっかけて酔っぱらうほかに、――やい、聞えねえのか、水を持って来い」