Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 157,440 characters · 313 screens
を見ずに聴いていると、男か女かわからないほどの凄まじいものです。
「ところで、きょう両国の小屋が閉ねたのは何刻ごろだ」
「御法通り酉刻(六時)そこそこでございました」
「それから、お前は真っ直ぐに帰ったのか」
「ヘエ、真っ直ぐに帰って、ひとふろ浴びて、一本つけさせたところへ、親分方のおいでで」
五郎八はそういって、薄寒そうに浴衣のえりをかき合せるのでした。酔いもふろの温もりもさめてしまいそうです。
「お前さん」
女房のお六はそれを察したか、後ろからどてらを着せかけました。
「ところで、金沢町の近江屋半兵衛を知っているだろうな」
平次は話題を変えました。相手の明石五郎八は、調子が滑らかで滅法人触りのよい癖に、どこかに要領をつかませない、したたかなところがあるので、平次はいろいろ攻め手を考えては、こう捜りを入れてみたのです。
「ヘエ、よく存じております。お気の毒なこと、非業の最期を遂げたそうで」
非業の最期――という浄るり仕込みらしい言葉が、妙に耳立ちます。
「お前とは、どんな掛り合いがあったんだ」
「三年前府中で興行している時、土地の顔役といざこざが出来、私の命も危ないという瀬戸際に立った時、あの近江屋の半兵衛さんに助けてもらいました。