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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 157,440 characters · 313 screens
「すると青ひげの大きな武家が私の家へやって来て――今お前は何を見た――いや隠さなくてもいい、見た以上彼れこれいうわけでない。その代りあの女の見張りを頼んだぞ、万一取り逃がすようなことがあったら、この店を踏みつぶして、お前の細首を引っこ抜くからそう思え――と」
「――」
お銀の話は次第に深刻になります。
「その怖い武家は暫らく五重の塔を見張っておりましたが、何処かへ姿を隠してしまいました。私は暫らくの間は、恐ろしさにすくんでしまいましたが、見す見す眼の前に銭形の親分のお神さんが、手ごめにされていることを思うと、私の安穏ばかりも考えてはいられません。四方の暗くなるのを待って、私は五重の塔に忍び込み、半死半生のお神さんの縄を解いて、ここまで送って参りました」
お銀はいい終ってホッと溜息をつくのでした。
「有難う、遅ればせだが礼をいうぜ。放って置けばおれの女房は、今ごろどんな眼に逢っているかわからない」
「あれ親分さん、そんなにまでいわれると――」
「ところで、お前はこれから何うするつもりだ」
平次は立ち入って訊くのでした。
「それを考えて私は、路地の外へ出られなかったんです。