Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 157,440 characters · 313 screens
お銀は静かに語り続けるのです。
「あと一年も待ったら、斑組の生残った四人の者と、外に手伝ってくれた二、三人にも二万両の金を分けてやろうという矢先、仲間のうちに思いも寄らぬ仲違いが出来、四人がそれぞれ自分だけで、この大金を独り占めしようと目論むようになりました」
「――」
「それから先は親分もご存じの通り、むごたらしい殺し合いが始まったのでございます」
「だれがだれを殺したのだ。俺には腑に落ちないことばかりだが」
「宇八は近江屋半兵衛を殺し、それから定五郎を殺しました。そして宇八と明石五郎八とお里は、大橋伝中に殺されたのです」
「大橋伝中というのはどんな男だ」
「孫が三人あって、五十三の大茶びんさんというのはあれはお楽さんの冗談で、本当はまだ四十台の、それはそれは怖い人」
「――」
お銀はかつて自分の配偶だった巨盗大橋伝中のことをいうとき、一種の不思議な表情をするのです。それは決して恐怖とか、嫌悪とかそんな感情の伴なうものではありませんが、決して恋人や亭主のうわさをするような、甘さのないことは事実でした。
「私はその怖い人のところから逃げ出してしまいました。暫らくは谷中の叔父さんのところで、手伝いをしていましたが、私のもとの配偶は、谷中の巣もかぎつけたようで、この上はもう、一日も安穏には暮せません」