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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 157,440 characters · 313 screens
「今度は近江屋ではあるまい、――先刻からお前の眼の動きを見て、俺はもうその金の隠し場所を、見破ってしまったよ。案内しようか、お銀」
平次はつと起ち上がると、片手に行燈を提げました。
「――」
それを黙って見ているお銀。
「少しは手を貸せ、お姫様じゃあるめえ」
そういいながら平次は、部屋の隅の三尺の置床を無造作に起しました。その下にはまた一枚板があって、板には念入りに手掛けの環までついているのです。
「もう沢山、親分、――決して親分を甘く見たわけじゃないけれど私の方が自惚れ過ぎました。ご案内しましょう、行燈を貸して下さいな」
床板を起すと、その下にポカリと口を開いた真っ暗な穴、行燈を寄せて見ると、下へ梯子が斜に掛けられてあります。
「さあ、入れ」
後ろから平次。
「蜘蛛の巣ぐらいはあるかも知れません。お先へ」
お銀は小褄をキリリとからげると、片手に行燈を提げたまま、器用に梯子を踏んで穴の底へ降りて行きます。
その後から、銭形平次が続いたことはいうまでもありません。
地下の穴倉は思いのほか広く、下には乾いた板などを敷いて、ザッと四畳半ぐらいはあるでしょう。穴倉の三方に幾つかの箱がつんでありますが、その一つ一つが急造の千両箱で、一万両の大金が、この中に隠されてあることは、調べてみるまでもなく、四方の物々しさや、冷々とし