Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 157,440 characters · 313 screens
そう言いながら、平次も淋しく苦笑いしているのです。
「だからあっしは、せめて下手人を三日経たないうちに召捕って、この怨みだけは晴らしてやると、請合って来ましたよ」
「良い新造がいると、お前の気組が違って来るから不思議さ」
「そんなわけじゃありませんがね、親分」
「まァ、宜いやね。ところで、お南の書き役に一升買って、とんだ眠い思いをしただけに、いろんなことがわかったよ」
「ヘエ、どんなことで?」
「先ず第一に、あの近江屋半兵衛の二の腕の入墨は唯事じゃない」
「ヘエ」
「ひとしきり海道筋を荒した、斑組の六人男というのをお前は知ってるだろう」
「知ってますよ。二、三年前でしたね、小田原から駿府へかけて宿々を荒した、六人組の大どろぼう」
「それだよ――お膝元の江戸へは入らなかったが、箱根から宇津の谷峠をかせぎ場に、大物ばかりを狙った悪者だ。それが今から丁度二年前、宇津の谷峠で尾張様の御用金――名古屋から江戸へ持って来る一万二千両の金を、馬子と宰領のお武家二人を斬って奪い取り、二人の仲間の死骸を捨てて、それっきり行方知れずになっていることはお前も聴いている筈だ」
「知ってますとも、お上からのお指図で、江戸中は言うに及ばず、四宿の外まで手配して、その六人組を捜したが、到頭行方がわからなかった――」