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うんなんしゅびへい
雲南守備兵
木村 荘十
Read 雲南守備兵 (うんなんしゅびへい) by 木村 荘十 (きむらそうじゅう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 37,859 characters · 76 screens
まごついた彼は、ベソをかくような笑い顔をした。
副官殿に話して見たって、今となってどうなるものか、伍長の母親と弟がどうなろうと公務は公務だ、前線へ行けば死骸も分らない将兵が何十万と居るではないか。
で、彼は勢よく答えた。
「孫伍長は元気であります。お蔭様で、もう心残りはないのであります」
「そうか、それはよかった。これは返事だ。同様機密だから、そのつもりで沈団長に手渡しするのだぞ」
「はいッ」
「団長に吉報だと云ってお渡ししてくれ……それから話は別だが、お前にも進級の話があるかも知れん。まア一生懸命にやれ」
「はッ」
「では列車に遅れないように早く行け」
副官は上機嫌だった。
“母……弟……吉報……進級”
孫伍長は列車に乗り込んでからも、それが頭から離れない。
伍長になったことでさえ母や弟は驚くであろうに、軍曹になって長剣を帯びて行ったらどんなに喜ぶだろうか。しかし、その母達の行方も分らないとは何ということだ。
彼は、自分が立派な軍人になって、母や弟や、隣の小孩や、誰や、かやに取まかれている所を想像しながら、汗ばむほど拳を握りしめていた。
“偉くならなきゃア駄目だ、偉くなれば、お母さん達を捜し出すことでも何でも出来る。