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うんなんしゅびへい
雲南守備兵
木村 荘十
Read 雲南守備兵 (うんなんしゅびへい) by 木村 荘十 (きむらそうじゅう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 37,859 characters · 76 screens
それでも脱走者が絶えないのであります」
「可哀想なことをしやがる」
軍曹は第二の銃声に、眼をつぶって顔をしかめた。徐上等兵は、思いも寄らぬものを見たという顔付きをして、孫を見守っていたが、急に慌てて云った。
「軍曹殿、誰れか応援に出して置きませんと――」
「いいようにしてくれ。だが、子供なんか射殺しても、俺はちっとも喜びはしないぞ」
「はッ、要領よくやります」
孫軍曹は、飛び出して行く徐上等兵を見送って、机の脚を蹴った。
“何だって、こんな明るい晩に逃げるのだ……いやな仕事だ。これが兵隊の仕事なのか……ふん、俺の仕事なのか”
そう呟いて部屋の中を歩き廻っていたが、鈍い銃声の響く度に、額に八の字を寄せて舌打ちをした。
徐上等兵が四名の兵と帰って来た時には、孫軍曹は彼らしくもなく部屋の机に肘をのせて頭をかかえていた。
薄暗いランプの灯がゆらめいて、油煙があがっている。
四名の兵が、挙手の礼をして、上等兵が報告しようとすると、彼は手を振って、何も聞き度くないという身振りをした。
しかし、彼は兵達が出て行くと、慌てて徐を呼びとめた。
「徐上等兵、殺されたのはどんな少年だ」