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でんしんばしらとみょうなおとこ

電信柱と妙な男

小川 未明

Read 電信柱と妙な男 (でんしんばしらとみょうなおとこ) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 2,071 characters · 5 screens

Aozora Bunko

」といった。

妙な男は、黙ってうなずいていたが、

「うん、それはおもしろそうじゃ、私を抱いて屋根の上へのせてくれ。」

と頼みました。

電信柱は、軽々と妙な男を抱き上げて、ひょいとかわら屋根の上に下ろしました。妙な男は、ああなんともいえぬいい景色だと喜んで、屋根を伝って話しながら歩きました。するとこのとき、雲間から月が出て、おたがいに顔と顔とがはっきりとわかりました。たちまち妙な男は大きな声で、

「やあ、おまえさんの顔色は真っ青じゃ。まあ、その傷口はどうしたのだ。」と、電信柱の顔を見てびっくりしました。

このとき、電信柱がいうのに、

「ときどき怖ろしい電気が通ると、私の顔色は真っ青になるのだ。みんなこの傷口は針線でつつかれた痕さ。」といいました。

すると、妙な男は急に逃げ出して、

「やあ、危険! 危険! おまえさんにゃ触れない。」といったが、高い屋根に上がっていて下りられなかった。

「おい小男さん、もう夜が明けるよ。」と、電信柱がいった。

「え、夜が明ける? ……」といって、妙な男は東の空を見ると、はや白々と夜が明けかけた。

「こりゃたいへんだ。」といいざま、電信柱に飛びつこうとして、またあわてて、