Japanische Klassiker mit Furigana
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あなたもわたしも
あなたも私も
久生 十蘭
Lesen Sie あなたも私も (あなたもわたしも) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.405 Zeichen · 263 Bildschirme
「プロデューサー、なんという方なの」
「おぼえていらっしゃるでしょ。飯島に別荘をもっていた神月伊佐吉……」
サト子は、われともなく筒ぬけた声をだした。
「あの神月さん?」
あの夜、扇ヶ谷の谷戸の上で、カオルは山岸の子でなく、神月の子だという深刻な告白をきいて、ひとごとながら強いショックを受けた。そのときのおどろきが、まざまざと心によみがえってきた。
カオルと芳夫ぐらい、似たところのない姉弟もないものだと、そう思い思いしたが、疑問をおこすだけのことは、たしかにあったのだ。そういう思いで、それとなくカオルの横顔をうかがっていると、カオルは、瞼をおしあげて、マジマジとサト子の顔を見かえした。
「どうして、そんな顔をなさるの?」
サト子は、あわてて、
「思いがけない名を聞いたもんだから」
と言いまぎらしたが、カオルに顔を見つめられているうちに、うしろめたい思いで、ひとりでに顔が赤くなった。
よく頭の回るカオルのことだから、ソロソロ疑いかけているのかもしれない。もういちど強くつっこまれたら、あの夜、愛一郎とカオルの話を聞いてしまったことを、白状するほかはない。サト子のあわれなタマシイは、尻尾を巻いて逃げだしにかかった。