Japanische Klassiker mit Furigana
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あなたもわたしも
あなたも私も
久生 十蘭
Lesen Sie あなたも私も (あなたもわたしも) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.405 Zeichen · 263 Bildschirme
ウラニウム
あとは、なにを聞いても返事をしないぞ、というような冷淡な顔で、ゆっくりと煙草に火をつけた。
ウラニウム
田村町の裏通りにある、『ジョン』というレストランの二階へ、サト子の叔母の由良ふみ子が重々しいようすであがってきた。無意味な失費を厭うので、新橋から氷雨に降られながら歩いてきたのらしい。茶のオーヴァ・コートが濡れしおれている。
時はずれで、客のいない食堂のなかを見まわしていたが、通りにむいた窓ぎわのテーブルで、カオルの弟の山岸芳夫が煙草を吸っているのを見つけると、
「おや、あなただったの?」
といいながら、ボーイにコートをわたし、のたのたと芳夫のそばへ行った。
年にしては派手すぎるマチス模様のクレープのアフタヌンを着ている。歩くたびに、いっせいに贅肉が揺れるので、マチスの魚や海草が、みな生きて動く。
「山岸さんだとばかり思っていた。電話の口上は、そんなふうだったから」
芳夫は、見たらわかるだろうといったふうに、細く剃りこんだ口髭を撫でながら笑っている。由良は、嫌気な表情を露骨に見せながら、小さな椅子に大きくおさまると、うさん臭そうにジロジロと食堂のなかを見まわした。