Japanische Klassiker mit Furigana
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いなか、の、じけん
いなか、の、じけん
夢野 久作
Lesen Sie いなか、の、じけん von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.535 Zeichen · 78 Bildschirme
「……ヘエ……そうなんで……ところで旦那……これはもう破れカブレでぶちまけますが、大体あの兼の野郎と私との間には六百ケンで十両ばかりのイキサツがありますので……尤も私が彼奴に十両貸したのか……向うから私が十両借りたのか……そこんところが、あんまり古い話なので忘れてしまいまして……チッポケナ金ですから、どうでも構わんと思っていても、兼の顔さえ見ると、奇妙にその事が気にかかってしようがなくなりますので……けんどそのうちに兼が何とか云って来たらどっちが借りたか、わかるだろうと思って黙っていたんですが……そんで……私は見舞いを云いに来た兼の顔を見ると又、その事を思い出しました。そうして……どうも熱が出たようで苦しくて仕様がない。こんな事は生れて初めてだから、事に依ると俺は死ぬんかもしれない……と云いますと兼の野郎が……そんだら俺が医者を呼んで来てやろうと云って出て行きましたが、待っても待っても帰って来ません。私は兼の野郎が唾を引っかけて行きおったに違いないと思ってムカムカしておりましたが、そのうちに十二時の汽笛が鳴りますと、どこかで喰らって真赤になった兼が、雨にズブ濡れになって帰って来て私の枕元にドンと坐ると、大声でわめきました。