Japanische Klassiker mit Furigana
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いなか、の、じけん
いなか、の、じけん
夢野 久作
Lesen Sie いなか、の、じけん von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.535 Zeichen · 78 Bildschirme
を寄贈するものが出来たりしたので、西村さんは急に金持ちになったらしく、同じ部落の者の世話で、母親の寝ている蒲鉾小舎を、家らしい形の亜鉛板張りに建て換えたりした。
「親孝行チウはすべきもんやナア」
と村の人々は歎息し合った。
ところが間もなく大変な事が起った。
ちょうど桜がチラチラし初めて、麦畑を雲雀がチョロチョロして、トテモいい日曜の朝のこと。カーキー色の軍服を、平生よりシャンと着た西村さんが、それこそ本当に活動女優ソックリの、ステキなハイカラ美人と一緒に自動車に乗って、川上の部落へやって来たのであった。
尤もこの日に限って西村さんは、何となく気が進まぬらしい態度で、自動車から降りると、泣き出しそうな青い顔をして尻込みをしているのを、ハイカラ美人が無理に手を引っぱって、亜鉛張りの家に這入ったが、母親はまだ睡っていたらしく、二人とも直ぐに外へ出て来た。
それから西村さんは直ぐに帰ろうとして自動車の方へ行きかけたけれども、ハイカラサンが無理やりに引き止めた。そうして自動車の中から赤い毛布を一枚と、美味そうなものを一パイ詰めた籠を出して、雑木林の中の空地に敷き並べると、部落に残っている片輪連中を五六人呼び集めて、奇妙キテレツな酒宴を初めた。