Japanische Klassiker mit Furigana
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いなか、の、じけん
いなか、の、じけん
夢野 久作
Lesen Sie いなか、の、じけん von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.535 Zeichen · 78 Bildschirme
そんな事を云い合ってドッと笑いこけながら、海岸に咲き並ぶ月見草を押しわけて帰る連中もあった。
そのあくる日のやはり夕方近くの事……本物の若い奥さんは、若大将と一緒に自動車で別荘に乗りつけた。そうして着物を着かえると直ぐに、夫婦づれで海岸から村の中を散歩してまわった。
奥さんは村の者の予期に反して別嬪でも何でもなかった。赤い毒々しい色の日傘の中に一パイになるくらい大きなハイカラ髪に結って、派手な浴衣に紫色の博多帯をグルグルと捲き附けたまま、反り身になって村中を歩いて行った。青白く痩せこけた上にコテコテとお化粧をした……鼻の頭がツンと上を向いた……眼の球のギョロギョロと大きい……年はいくつかわからない西洋人のようにヒョロ長い女であった。又、若大将の方は三十前後であろうか、奥さんよりもズット背の低いデブデブの小男であった。派手な格子縞の浴衣に兵児帯を捲きつけて、麦稈帽を阿弥陀にしながら、細いステッキを振り振りチョコチョコと奥さんの尻を逐うて行くところは、如何にも好人物らしかった。中には奥さんのお伴をしに来た書生さんと思った者もあるらしかったが、その二人が広くもない村の中を一通りあるきまわると、夕あかりの残った網干場を別荘の方へ通り抜ける時に、こんな話をした。